Spencer Hanson

同級生にスペンサーという、カナダ人の友達がいた。
彼はもう生きていない。高校を卒業した年に交通事故で亡くなった。
あまりに早かった。

僕は高校の時選択授業でアートをとっており、彼もまたそうだった。
クラスが2つあり、僕らは一緒のクラスではなかったが、「スペンサーはワイヤーアートが上手い」と評判だったので、その噂はこちらのクラスにも流れていた。

ぐるぐるに巻かれたワイヤー(太い針金)を適当に切り、それをまっすぐにする工程は僕は苦手だった。
休み時間に美術室での制作時間。スペンサーがワイヤーをさわっている。しめしめ、
僕は彼に一度、「hey Spencer, how can i make it straight?」と聞いたことがある。
「どうやってまっすぐするの?」と。
すると彼は左手と右手でうねうねの針金をまっすぐにしてしまった。もともとそうだったように。
言葉もなく、にこっとえくぼをみせて。
「わあ魔法みたいだ!」そんな眼差しで見惚れたことがある。

彼は針金でピストルや電車などを作っていた。
天真爛漫な彼の青い瞳は、鏡よりも忠実だったように思える。
ハリガネアートのスペンサー。



家の中の空気は澄んでいた。そして、淡く白かった。
寝ぼけた僕はソファーに座って、携帯でfacebookをチェックした。
アレクシスや、リナや、僕の同級生が皆スペンサーの名を連ねている。
名前と一緒にRIPという言葉も多く見られる。
「忘れない」「悲しい」「ありがとう」 

僕の喉はキュッと締め付けられた。じわりと涙が溢れてくる。
そして、声がでる。悟った。彼は逝ったのだ。
おかあも死んだし、なんでスペンサーも死なないかんがやろう?
うえんうえんと泣いた。
親父は僕の喘ぎ声に気付き、僕を抱きしめた。
その朝は、全く、何もかもが白く霞んでいた。
死の波が、そんな神秘的な空気をつくっていた。

僕はその日、初めて缶ビールを買って、学校の美術室に持って行った。
学校の前で数学の先生と会って、お互い抱きあった。
彼女は1人の悲しい人になっていた。同じうつほに、僕たちは抱き合った。
スペンサーがいた美術室に僕は缶ビールをカンと置いた。
「まぁ、飲めよ」それしか言えなかった。

facebookで最近、4年前の出来事とかの過去を知らせてくる機能がついちょって、それにスペンサーの写真がでてきたので懐かしく、ここにこうやって、なんかようわからんけど書き綴ってます。

まっすぐにするには、「これで、おっけい」と構えるまっすぐさが、いいのではないかな。

ちょっと風邪をひきはじめたかもしれません。
やだわぁ。

凡そ





お前高校の時誰が好きだった?彼女いたの?
Spencer Hanson (1995~2013)


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by boncoin | 2016-09-27 08:25 | 暮らしの事 | Comments(0)